「運命の扉 NO.8」 ~ 恋愛幻夢(れんあいげいむ) ~

『運命の扉 NO.8』 ~ 恋愛幻夢(れんあいげいむ) ② ~


「話の途中でごめんね。彼とは1ヵ月にどのくらい会っているの?」
慌てて私は彼女の話の途中で聞いた。
「2年間付き合っているんですけど、まだ、一度も会ってないんです」
何の躊躇も無く、今まで話していたトーンと同じ明るさで彼女はあっけらかんと言った。

私は頭を殴られたような気がした。

長いメールで私は知っていた、彼は、確か都内に住んでいる・・・、決して遠距離ではない!

彼女は私の質問に答えると直ぐに先ほどの話の続きを何もなかったように話し始めていた。

私の声にならない思いが頭の中で油が跳ねるように、パチパチとそこら中で爆(は)ぜている。

『エッ?一度も会った事も無く、メールだけで2年間やり取りしているだけで・・・、
だいたい、これって付き合っている、って言うの?
彼の仕事が忙しいから会えなくて、電話でさえも話した事も無く、それなのに
二人の喫茶店の資金の為に彼に300万円ものお金を預けて・・・』

『エッ~?これ詐欺じゃないの?』

でも彼女は、久しぶりに彼との事をしっかり聞いてくれる私という相手を見付けたらしく、
幸せいっぱいの顔で一生懸命話をしていた。

『詐欺じゃ・・・、ないのか!2年も、一応メールやり取りしているんだから!
幻の男じゃ・・・ないのか!』

私は頭がおかしくなりそうだった。

『あ~れ?ディズニーランドに行った、ってメールに書いてあった気がしたけど・・・』
『あ~れ?さっき店の物件見に行った、って言った気がする!』

『な、な、何なの?いったい!』

私の頭は完璧にパニック状態になっていた。
そして不思議そうな顔をして彼女が話をやめたのも私は気付かずにいた。
「具合でも悪いんですか?」
「ううん・・・、大丈夫!どこまで話したんだっけ?」
「アッ、結婚式の式場の話です。それで・・・」

相変わらず楽しそうに話を続ける彼女に、私は愛想笑いをしながら頭を整理し始めた。

しかし、彼女は最後まで私に何を悩んでいるのか、何を聞きに来たのかも言わなかった。

そして、
「私、どうしても話を聞いてもらいたかったんです!」と、満足そうに言った。
「アッ、あのう、占いはしなくて・・・いいの?」
「そうだ!占いをやってもらいに来たんですよね!・・・でも占いはいいんです。
今の私は、幸せだから」

私は今がチャンスだと思った。
「貴方、騙され易いから気を付けなくちゃ駄目だよ!」

一瞬、彼女はキョトンとした目をしたが、ニコッと笑い舌をペロッと出しながら言った。
「彼にも、よく言われるんです。騙され易いから、もっと色々な事、慎重にならなくちゃ駄目
だよって、やっぱり、私、占いでも騙され易いんですね」


私はその彼のメールアドレスを聞こうと思ったが、やめた。
これは彼女の人生なのだ。
私が立ち入る事は出来ない。

私の心配とは裏腹に帰り支度を始めた彼女に、
「ねぇ、一つだけ、お金・・・、彼に預けてあるでしょ?」
私はお金は彼女が管理した方がいい事だけは伝えた。

彼女は本来なら金銭感覚に長けていて、経理や税務関係の仕事に向いていたからだ。


③につづく

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