「運命の扉 NO.15」 ~ 孤独の肖像 ~

『運命の扉 NO.15』 ~ 孤独の肖像 ② ~

見えなかったものが見えてくる時。

大人だと思っていた彼が・・・、素敵だと思っていた彼が・・・、
尊敬出来ると思っていた彼が・・・、すべて子供だった自分の錯覚だと気がついた。
「私、この人と結婚するなんて嫌だ!別れたい!」
そう思った瞬間、会社の事が大きく圧し掛かってきた。
彼と別れたら、会社で彼と会うのは気まずい事になる。
この時初めて社内恋愛の難しさに気が付いたと言う。

しかし彼女の心配は偶然彼の父親が病気になった事で救われる。
彼の実家は田舎で農業を営んでいたので、
長男である彼は突然田舎に帰る事になったのだ。
会社の同僚は彼女の本当の気持ちも知らず、一人取り残された彼女に
同情してくれ慰めてくれた。
彼女は心の中でホッとしながら、二度と社内恋愛はしないと誓ったと言う。

その誓いは3年の月日を越えて破られた。
もう子供ではない彼女が次に恋した相手は外部スタッフで
編集部に毎日やって来るフリーのライターだった。
社員ではないが、彼は毎日会社に来て1日中社内にいる事が多かった。
その事が編集部に移ったばかりの彼女との距離を近づけた。

3ヶ月過ぎる頃には社内には内緒で同棲を始めた。
彼女は彼の明るくて前向きの性格が大好きになり、
仕事も私生活も一緒で本当に幸せを感じていた。
「彼とは結婚するかも・・・?」
事実、同棲を始めて2年くらいは彼の方でも結婚を意識してか
「結婚式の為に、二人で貯金をしよう」とか
「マンションを買いたいね」
等と言う会話が二人の間を飛び交っていたと言う。

その言葉通り二人は貯金を始めた。
仕事が忙しかったせいもあってか、お金を使う暇が無かった二人の貯金は
順調に貯まり2年で400万を超えていた。
彼女は、ただただ結婚に向かって幸せのバージンロ-ドを歩いていた。

貯金が貯まるにつれ自分の年齢の事が気になり始めていた。
30歳を前にして、彼女の知らないうちに同僚の女の子の顔ぶれはいつの間にか
ドンドン変わっていた。
女の子の場合、結婚退職が殆どで転職というのはまだ少なかった。

ふと気が付くと同棲も4年になっていて、彼の仕事も順調で彼女の会社以外にも仕事が増え、今では彼女の会社に毎日来る事は少なくなっていた。
お互い時間のずれもあって、自宅でゆっくり離す時間も二人には無くなっていた。
二人の間には習慣と言う生活だけが流れていた。

彼女は結婚の事を言い出せなかった。
お互い今の生活には満足していたし、彼はどんなに遅くなっても必ず家に帰って来たし、
喧嘩する事も無く不満は何も無かった。
彼女は結婚の話を言い出す事で今の二人の生活が壊れる事が怖かった。
心の中では30歳までに結婚したいという気持ちでいっぱいだったのに彼女は言わなかった。

二人にとって今やこの生活は心地良いものから都合の良いものに成ろうとしているのを
感じながらも、同棲は続いた。
心の何処かで不安を抱きながらも、必ずいつかは彼と結婚できる事を夢見ようとしていた。
結婚というのはよくタイミングと言うが、何年も付き合って結婚する人もいるのだから、
ズルズルとこのままいくのだろうと彼女は思い始めていた。


③につづく

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