「運命の扉 NO.15」 ~ 孤独の肖像  ~

『運命の扉 NO.15』 ~ 孤独の肖像 ④ ~

「バブルが崩壊してから買ったから、すご~く安かったんです」
私がマンションの事を聞いた時、彼女はアッサリ言った。

彼女は立ち直れなくて会社も辞め1年以上ブラブラしていたと言っていた。

半年くらい経ってから、彼に貯金を半分渡したが、受け取らなかったので、
彼の通帳に振り込んだが彼はそのまま戻してきたと言う。
それで、「結婚と出産祝いって事で200万円だけでも受け取ってほしい」と言って
彼女は彼に無理矢理渡したそうだ。

別れてからもまだイイ女でいたい自分に呆れながらも、
理由を付けては彼に会いたかったのだと言う。
自分が自分でないような感じだったと言う。
『死ぬ事』を考えながら、死んだら彼に会えなくなっちゃう、
死ぬ前にもう一度だけでも会いたいという気持ちがあって、
何回も自殺に挑戦するが無理だったと言う。

友達が心配してくれて、
「時間が必ず解決してくれるから、今は辛いかもしれないけど、耐えなくちゃ駄目だよ。
みんな経験しているから」と言ってくれたが、
彼女の時間はそう簡単には過ぎていかず、1日の中でまだ1分も経ってないのかと・・・、
長い長い日々の毎日だったらしい。

2年くらい経って、やっと彼女は彼と一緒に住んでいたマンションを移る決心をした。
彼との思い出が詰まったこのマンションは、未だ彼女に大きな悲しみと寂しさを植え続け
彼女を苦しめていた。

私は何故マンションを直ぐ変わらなかったのか聞いてみた。
思い出だらけで彼の事を思い出して辛くなるのは当たり前だと思ったからだ。

彼女はもう既に彼と別れて6年も経つのに目にいっぱい涙を溜めて
「彼が帰ってくると思ったんです、帰って来る訳がないのに・・・。
彼が最後に私を強く抱きしめてくれたのを、私が勝手に誤解したんです。
この人はまだ私を愛している、あの子に子供が出来たから、
無理に私と別れようとしているって」

あまりにも長すぎた春に終止符を打てないまま、
彼女は時の中で未だに彼との思い出の中に夢を見ている。
新しいマンションに移っても彼女の気持ちは何も変わっていない。

もう二度と恋はしないと言って、
二人で溜めた貯金でマンションを買って一人で生きていくと決心したと言っていながら、
彼女は彼との結婚を未だに夢見ている。

自分の正直な気持ちを【孤独の肖像】に閉じ込めて・・・、
その肖像画が涙を流しているのを見もせずに・・・。

私は彼女が憐れでしょうがなかった。
今こそ自分の気持ちと自分を本当に大切にして欲しいと思った。
それはたった一つしかない彼女の人生だから。
誰の人生でもない、彼女の人生だから。
そして彼女にはこれから先、まだ長い長い人生が待っているのだから。

彼女は4回鑑定に来た。
「この事を書いてくれたら、きっと私今度こそ、もう過去の事なんだって思えると思うんです。」
1回目も2回目も彼女はこの事を言い続けていた。

「もう無理に書いてくれなくても大丈夫です。全部洗いざらい話をしているうちに、彼との事は
もう遠い過去なんだとシミジミ感じました。もう彼との事は本当に終わってしまったんですね」
3回目は現実をやっと受け入れられたようだった。

「私のことを本当に心配してくれて話をじっくり聞いてくれた事に今は凄く感謝しています。
これからは自分を大切に前を向いて強く生きていきたいと思います。」
これが最後に彼女が私に残した約束事でした。

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