「運命の扉 NO.18」 ~ 総理大臣になりたい男 ~

『運命の扉 NO.18』 ~ 総理大臣になりたい男 ② ~

彼は大学卒業後普通の会社に就職したが政治に興味があり、
人のツテで政治家秘書に転職をしていた。
勿論実家には政界関係者は一人も居ず、普通のサラリーマンの家庭である。

彼が最初に付いた議員さんは地方出身者だったので、彼はその議員さんの地元に2年間、
奥さんを東京に残して単身赴任で行っている。
所謂、私設秘書で地元に議員さんが帰って来た時にお世話をし、普段は後援会の方々の
お世話をするという仕事をやっていたのだ。

私はその話を前に聞いた時、
「地方って大変じゃない?それに、みんな歳の年配の人ばかりでしょ?疲れない?」
「それが、なかなか、俺、全然大丈夫だったんだよ!甘え切っちゃったのがイイみたい!」
そう言う彼の話を私は初め話半分に聞いていた。
過去の事なので辛かった事はすべて時間が経つと薄れていくから。

しかし、そんな聞き態度の私に向かって、その議員さんの地元の話をする彼を
見ているうちに、彼が本当にその地元が大好きなんだという事が私にも分かってきた。

この人、社交辞令とか御世辞で言っているんじゃないんだ、本気で地元の人達の事を
思っているんだという事がよく分かった。

この時私は彼が政治家向きとかではなく、政治家秘書という仕事は色々やる事が有って
大変なんだなと思っただけだった。

でも今彼が「総理大臣になりたい」と言えば、
彼が私に楽しそうに前に話した事が事細かに私の頭の中から蘇ってくる。

彼は政治家になりたかったんだ、初めから・・・。
これは昨日今日考えた事じゃないんだ・・・。
彼の瞳が輝いているのは当たり前なんだ・・・。

私がこれから何を言っても彼はヤル気なんだ、
総理大臣になる為にどんな事をしてもヤルつもりなんだ、
そう分かった時、私は彼と真正面から向かい合う決心をした。
馬鹿な話だと思われるかもしれないが、本当に彼を総理大臣にしたいと
心の底から私はそう思った。

「総理大臣に向く向かないはいいんだ。
向くように努力をするから・・・、これから、どうしたら良いかを教えて欲しい。」
力強い言葉だった。
「来年、春に田舎である県議会議員の選挙に出る。まず、それをクリアーしなければ、
何も始まらない。」
彼の目がその先を見ていた。

彼が見つめる先には大きな壁と沢山の茨の道が開いていた。
彼はそれを承知で今歩き始めてようとしていた。


③につづく

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