「運命の扉 NO.20」 ~ あの人を殺して ~

『運命の扉 NO.20』 ~ あの人を殺して ① ~

「あの人を・・・、あの人を殺して!」
般若の顔になった彼女が泣き叫んだ。

彼女との鑑定時間は変わっていた。
変わっていたと言うより、あまりにもスムーズに話が進んで、私は何回も彼女に言った。
「でもね、これは貴方の人生だから、貴方が思ったり、やらなければ、何も始まらないのよ!
私の人生じゃないんだから!」
「分かっています!私次第なんですよね。頑張ります」

手ごたえがないと言うか・・・、
あまりにも彼女が素直過ぎて、私は心の中で彼女は私が言っている事を
本当に理解していないのではないかと思えて仕方がなかった。

鑑定の始めから、そうだった。

「思い当たります。最近、それに近い事がありました」

彼女は私が何を言ってもそう答えた。
私の質問にも何でも素直に答え、彼女の答えには迷いも無くハッキリしていた。
私は久しぶりに気持ちのイイ思いに最初は浸っていた。
好感触の彼女の対応に・・・。

しかしあまりにも対応が良ければ良いほど心配になってくるのも人間の常である。

私は彼女の話を聞きながら彼女を観察した。

明るい・・・、時々、顔じゅうを笑いでいっぱいにする屈託の無い笑顔も素直な彼女を
現わしていた。
彼女の瞳の輝きも嘘ではない。

最近占いの鑑定をやっていて、すっかり嘘を見抜く癖が付いていたので私は私自身を
少し攻めた。

こんな、いい子を疑ってはいけない。

でも何故か、拭いきれない何かが私と彼女を包んでいた。
嘘を付いていたら本当の事が分からず、幸せが霞んでしまう・・・。
こんなに可愛い子だからこそ本当に幸せになってもらいたい、私は私に言い聞かせた。

何で私は不安になるのだろう?
彼女は正直に色々な事を私に話してくれている。

「じゃ、何か始めてみようかな~、将来のために。何がいいんだろう?
あっ先生、私昔彫金やっていたんですけど・・・、又始めようかな~?」
「へえ~彫金やっていたんだ!あれって機材とか高いでしょ?」
「そうなんです。すご~く高くて、ローンで払ったんですけど・・・、結局払い終わる前に
辞めちゃったんです。勿体無いな~て思っていたんだけど・・・」
「嫌じゃなかったら今度はゆっくり始めたら。性格的にあんまり根詰めてやると
又直ぐ飽きちゃうと思うから」
「そうですね。折角お金掛けて買ったんだから・・・、又彫金始めてみます」

私たちの会話はこんな風に弾んでいた。
スムーズにドンドン決まっていく。
これで本当にいいのだろうか?

40分ぐらい経った頃だった。
彼女は生年月日が書いた1枚の紙をポケットから取り出した。
「あの、この人ってどんな人ですか?みて貰っていいですか?」
「あっ好きな人なの?」
私は彼女の返事を聞かないうちに『万年暦』を開いて、その生年月日を探していた。


②につづく

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック