「運命の扉 NO.22」 ~ 天使の盾 ~

『運命の扉 NO.22』 ~ 天使の盾 ① ~

「そんな気持ちで子供を生んでは絶対駄目!」
「でも生みたいんです!彼の子だから!」
「辛いかもしれないけど現実を見なきゃ!貴方は彼と別れたんだよ!彼はそんな事しも・・・、
もう戻ってこないんだよ!」

彼女の涙は止まらなかった。
私も厳しい事を言っているのも、承知していた。
でも無理なものは無理なんだ。

「彼女には、ちゃんと別れたい理由も話したし・・・、3ヶ月前、二人で納得して別れたんです。
今更子供が出来たと言われても・・・。無責任な事を言うつもりはありません。
彼女が本当に子供を生みたいなら、それなりに責任は取ります。でも彼女は僕と
もう一度やり直すために、子供を生みたいと言っているんです!それは・・・、出来ない・・・」
「私も、そう思う。純粋に好きな人の子供を生みたいんじゃないと思う。
彼女は子供を盾にしようとしている」

28歳のこの男は年齢の割には、確りしていた。

占いに来た彼女に頼まれて、私は彼に連絡を取る羽目になってしまった。
彼は逃げる事も無く、スンナリ私と会う事を承知してくれた。

夕方仕事が終わると現われた彼は、長身で精悍な顔立ちをしていた。

「済みません、御迷惑を掛けて・・・」
「いいえ・・・、大きなお世話で、私のほうこそ・・・、仕事の方は大丈夫?」
「いいえ、助かります。今は彼女と直接話しても、売り言葉に買い言葉になってしまって、
話しにならないんです。仕事は大丈夫です」

そう言った彼はどっと疲れが出たのか、大きくため息を付いた。

「嫌な事ですが・・・、弁護士さんにでも相談しようと思っていたんです」
「そう・・・、大丈夫?」
「ええ、ちょっと、ここ最近、彼女に振り回されているもんですから」

そう言うと、彼は彼女との出会いを彼女と同じように話し始めた。

二人の出会いは8年前にさかのぼる。
大学のテニスサークルの先輩と後輩という形で出会う事になった。
大学時代には二人は個人的には付き合っておらず、サークルの仲間という感じで
過ごしていたらしい。
二人が大学を卒業後、3年ぶりに開かれたサークルの同窓会で再開し付き合い始めたのだ
と言う。

「彼女と結婚するつもりでいました、本当に、今年の初めまでは・・・」
彼には田舎があるが自分は次男で、長男が御両親の面倒見ていたので、東京の大学を出て
そのまま東京で就職をしていた。
勿論、一生田舎に帰って暮らす事はないと思っていた。

それが去年の11月、その長男に不幸があり交通事故で亡くなってしまい、
又そのショックで年老いた母親が介護を必要とする状態になり、次男の彼にその役回りが
回ってきたという事だった。

東京生まれで東京育ちの彼女に無理は承知で、田舎に一緒に帰ってくれるよう、
初めは頼んだそうだ。
しかし彼女は彼と田舎に行く事を最後まで拒んだ。
二人で2ヶ月以上話し合った結果、別れる事を決めた。

②につづく

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