「運命の扉 NO.22」 ~ 天使の盾 ~

『運命の扉 NO.22』 ~ 天使の盾 ② ~

彼はその後、今の会社の引継ぎをしながら、休みの度に田舎に帰り
御両親のお世話をしながら向こうでの就職などを勧めてきた。
彼が東京にいる間、彼の田舎の御両親を守ってくれたのは、小学校の同級生で
幼馴染だった看護士の女性だと言う。

「僕は・・・、彼女と結婚しようと思っています。
彼女には東京で最近まで付き合っていた彼女の事を、すべて話しました。
今回の妊娠の事も話しました。純粋に子供が欲しくて生みたいなら、
認知もする事も話しました。」
「あっそうなの?・・・田舎の彼女を愛しているの?」
「僕の事をずるい男だと思ってもらっても構いません。
彼女にも、まだ本当に愛しているか分からないけど、結婚して欲しいと言う事を
先週帰った時に言いました。
だから、すべて隠さず彼女に話をしたんです。彼女は、笑っていましたけど・・・、
ホッとするんです、彼女と居ると」

私は彼の気持ちがよく理解出来た。
彼は東京の彼女と別れた寂しさから、彼女と付き合いたい訳ではない。
又彼の御両親の面倒を看てくれているから、彼女と付き合いたい訳ではない。
彼はそういうタイプの男性ではない。
彼の話を聞いていれば、それがよく分かる。

「別れて2ヶ月くらい経って、彼女から急に会社に電話があったんです。
話しがあるから会いたいって。それで妊娠の事を知らされたんです。
僕は生んでもいいと言いました。
責任は取るつもりだと・・・、でも彼女はやり直したいって、
田舎には行けないけど結婚して欲しいって・・・」

彼女は子供を盾に彼に無理な要求をしていた。
彼が子供を大好きな事を知っていて・・・。

「子供をおろすのは彼女の身体の為にも絶対良い事ではないと思います。
ですから本当に彼女が、子供を大切に思ってくれるなら生んでもいいと思っています。
でも彼女とは、もうやり直す事は出来ない。それに僕は田舎を離れる事は無理だし・・・、
今の彼女は言っている事がメチャクチャなんです」

そう言いながらも、私に子供をおろした場合の女性のダメージや妊娠中に
興奮していいのか等について質問してきた。
この1ヶ月彼女の我侭に振り回されながらも、彼は彼女の身体の事を心配していた。

彼もこの1ヶ月の間、彼女の本当の気持ちを知ってからは子供はおろすしかないと
言うことを彼女に言っていた。
優しくする事が、かえって残酷な事だと気が付いたからだ。

「期待を持たせては、かえって彼女が可哀想だと思ったので、あえて子供をおろして欲しいと
言いました。このままだと生まれてくる子供が可哀想です」

彼の言うとおりだった。
彼女は今時の流行になっている『子供だけは欲しい』と言うのとは違う。

子供・・・、天使を盾にしようとしている。


彼は最後に、もし彼女が子供を生んで育てられないんだったら、
自分が引き取ってもいい覚悟もある事を言い残して帰って行った。
私は彼女を説得出来ないかもしれないけど、同じ女性として子供の事は一緒に考える事は
出来るので、とにかく彼女ともう一度話す事だけは約束した。


③につづく

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