「運命の扉 NO.27」 ~ 顔の無い女 ~

『運命の扉 NO.27』 ~ 顔の無い女 ① ~

彼女は鑑定が始まってもサングラスをかけたままだった。
神経質なのか下を向いたまま両手の指を細かく動かしている。

メールで鑑定予約をしてきた時に相談内容は聞いていた。
「内気な性格で、最近外に出るのが怖い。
このままでは引き篭もりになりそうで心配。
これからの運勢を占って欲しい」

確かに鑑定でも大人しい神経質気味の要素は持っていたが、彼女だけが特別ではない。
この程度ならいくらでもいる。
むしろ、この神経質な性格を生かし特殊な技術を習得して仕事に付いて活躍している人も
多い。

彼女は私が何回も覗き込むように話しかけるのに気が付いて言い訳のように言った。
「チョット目を怪我しているので、サングラスをかけたままですみません」
「ああ、別にいいけど・・・、暗くない?大丈夫?」
「大丈夫です」

右手でフレームを上げた瞬間に見えた彼女の目は大きく腫れて青くなっているように思えた。
私は殴られたか転んだのかなと思ったが、本人が言わない限り、好奇心だけでは
こちらからは何も言えない。

鑑定は続く。
彼女の運勢は今特別悪いわけでもないし、何かに雁字搦めになったり空回りしたりする運でも
ない。
安定期に入ったばかりで、これからは何をしようと努力した分はそれなりに成果が上がり
期待出来る運である。

彼女が一番心配していた疎外感については最初から社会運に大変良いものを持っており、
一生を通して目上の人の引き立てや周りの応援を受け易いラッキー運を備えている。

この話をした後で私は聞いた。
「運勢的には全然悪くないから、後は貴方次第なんだけど、何かあったの?
外に出たくない何かが・・・?」
彼女は顔は下を向いているものの、鑑定中も何回か私に質問をしたりして、
見た目の姿形とは違って話す事はしっかりしていた。
しかし彼女の中に何故か大きな闇を抱えているように思えて仕方がなかった。

彼女は一瞬、喉を鳴らした後で突然顔を上げると、私の方にしっかり顔を向けて話し始めた。
「気になるでしょ?このサングラス?」

私は彼女のその行動にビックリしていた。
彼女のサングラスをつけた顔には既に慣れてしまっていたので、彼女の言葉より行動に
気を取られていた。

「エッ、何?」
私が答えると同時に彼女はサングラスを外していた。

「え~・・・」
私はその痛々しさに思わず声を出してしまった。

晴れ上がった瞼は限り無く黒い青色をしていて、その腫れた真ん中に傷を縫ったように、
紫に近い赤色をした横線が何本も入っていた。
私は正直言って、昔見た映画の「お岩さん」を思い出していた。
目を伏せたかったが、彼女の手前それも出来ずショックのあまり何も言えないまま
黙っていた。

「整形手術を何回もしているんです。それで、こんなに腫れているんです」
「ああ、そうだったの。怪我って言っていたから、ビックリしちゃった、ごめんなさい、
驚いたりして!」
慌てて言いながら少しホッとしていた。
ただ身近に整形手術をした人が居ないために、こんなに腫れるものかと思ったことは
確かだった。


②につづく

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