「運命の扉 NO.32」 ~ 許されない愛 ~

『運命の扉 NO.32』 ~ 許されない愛 ③ ~

そして彼女の今の思いが永遠に語られた。
憎んではいけない姉を憎み、そして憎みきれずに自分を責め、義兄への愛する思いを
止める事も出来ず流されては引き返し、今の彼女は行き場を失い自分自身をも失おうとして
いた。

32歳の平凡なOLは姿を変え、恋する天使と悪魔の顔で笑う、それは醜くもあり痛々しくも
ある一人の女性の姿だった。

「本当にお姉さんは貴方とお兄さんの事、全然気が付いてないの?」
彼女の話が終わると私は聞いた。
「姉は私の事・・・、馬鹿にしているって言うか、まだまだ子供だって思っているんです。
だから、まさかお兄さんが私に愚痴をこぼしているなんて、全然思っていないんです・・・」
諦めたように彼女は言った。

「困ったわね、相手がまだ他人なら・・・、少しは状態が変わるけど、身内じゃね~。
それに今はお姉さん気が付いてないかもしれないけど、話を聞いた限りではお姉さんが
気付くのはもう時間の問題だね!」
「そう思いますか?」
彼女もその時のことを考えてか、真剣な顔つきになった。

「大変な事になっちゃうね、お姉さんがこの事を知ったら!お兄さんはどう考えているん
だろう?」
私はこの先、彼女に起こりうる恋愛関係と姉妹関係と二つの別れが訪れる事を考えて
急に不安になった。
「兄は・・・、何にも言わないんです。ただ姉に知られる事は凄く恐れていて・・・、
先週も姉の出張があったんですが、その事に付いて話しをしたんですが・・・、
結局はSEXして終わっちゃって・・・、こんなことじゃ・・・、どうしたらいいんですかね?」

「お兄さんもお姉さんに気が付かれるのを恐れているくらいだから、これから貴方とどうにか
なろうとは思っていないって事じゃないかな~。
ただ、今お姉さんが仕事に出てしまって寂しいっていうだけじゃないの?
そんな時に貴方がそばにたまたま居たって感じ?
多分お兄さんは何かが起こっても貴方の味方は絶対しないと思う!」
私の言葉に見る見るうちに彼女の瞳が赤くなって涙でいっぱいになった。
私は彼女のその涙を無視して続けた。
「もう二度と、お姉さんから留守を頼まれても断った方がいいと思う。お姉さんの家に
行かない事が大切!ね、大変な事になる前に・・・。貴方だけが悪者になる前に・・・」
彼女のか細い声が震えながら言った。
「やっぱり諦めるしかないんですね・・・」
「それが一番いい事だと思う、今は!」

もう彼女は何も言わなかった。
いいや既に・・・、彼女は私の所に来る前に分かっていた。そして決めていた。
そして答えを出していたんだ。

義兄の事を諦めきれずに流されるままの時間の中で、あるはずの舵を取ることを許されず、
彼女は一人で漂って傷付いてボロボロになって行き先も分からず・・・、
そしてその後に来る未来は・・・、何もない。

人を好きになる事は本当に難しい。
与えるだけだったら、こんな苦しみはない。
今は彼女に疲れ切った身体と心をゆっくり休めて欲しいと心から思った。
そして彼女の思いを受け止められる相手と、今度は素敵な恋をして欲しいと思った。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック