「運命の扉 NO.37」 ~ 独立という名の孤独 ~

『運命の扉 NO.37』 ~ 独立という名の孤独 ③ ~

彼は退職金をシステムの開発に100万円かけた以外は一切使っておらず貯金してあると
言った。
驚くことはまだまだ続く。
彼の考えでは、独立してすぐ仕事は回り、3ヶ月以内には自分で事務所を借りる。
会社の運用費は仕事が回るので、自分の退職金はシステムの開発で使った以上は
絶対に使わない。
こんな独立聞いたことがない。

私は少なからず若い頃からいつも自営だったので、仕事の内容は別にしてもゆっくり細かく
自営とはこんなもんだと話始めた。
「だいたい、1~2ヶ月で独立して上手くいくなんて思って独立する人なんていないと思うよ。
やっぱり最低でも半年から1年は・・・って思う。
それにそれは死に物狂いで頑張って頑張ってっていう人で・・・。
貴方の今の悩みは、本当だったら早くて半年以上独立して頑張ってきた人で、
普通だったら2年くらいやっていて資金繰りにも困って、もうどうしようもないって言う人の
相談事で・・・」

彼は黙っていた。
「いいの?2,3ヶ月で判断しちゃって!自分はお金の面でも努力の面でも何にも
傷ついてないくせに、このまま逃げ出しちゃっていいの?」

私はたまりかねて感情をあらわにして彼を叱ってしまった。
次に彼を見た時、彼の目からは涙が流れていた。
強気のはずの彼は一人ぼっちだった。

「独立するって本当に孤独な事なんだよ。
貴方が今陥っている状態って最初から予想していても・・・、実際サラリーマンの人が
独立するとみんな陥るの。
私もね、独りで煮詰まったときは仕事関係じゃなくても誰かに会って話したりするんだよ。
その中でアイディアが生まれたり気分転換したりして、自分に自信を取り戻していくの」

独立は本当に孤独だ。
そして自由ほど難しいものはない。

涙を拭きながら彼は言った。
「そう言えば、前の会社でも心から何でも話せるって友達はいなくて・・・。
誰にも相談出来なくて・・・、自分は、全然人徳がないんです・・・」
「格好付けてるんじゃないの?自営は自分でも何でもやらなきゃならないから!
それに友達って別に学生の時の友達だっていいんだよ。
仕事の話をするわけじゃないんだから!気分転換なんだから。
それに人徳ないって言うけど、少なくても最初、一度でも広告代理店の人が応援して
くれたんでしょ。今自信がなくなっているから、悪い方へ悪い方へしか考えられないんだよ。
大丈夫だから!」

私はその後、彼にこの先半年間の鑑定に基づいたアドバイスをした。
かつて、こんなに細かくアドバイスした事はないだろうと思われるくらい、今日やる事
明日やる事と日々の行動を計画した。
今のところ自信を失くし切っている彼には誰かの最低限のお膳立てが必要だった。
「これ以上は自分で考えて!」
「分かりました・・・」
自信無さそうに彼はその言葉を残して帰って行った。

1ヵ月後、彼から「まだ、頑張っている」とメールが届いた。
最後に
「寂しくて死にたいと思っていた時に一緒に色々考えて下さって本当に感謝しています。
ありがとうございました」と書いてあった。

独立という名の孤独が再び彼を襲う事もこれからあるだろう。
でも、次はきっと・・・と信じるしかない。

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