≪人間関係 トラウマ NO.2≫

≪人間関係 トラウマ NO.2≫


彼が無理に笑いながら、凄く彼にとって都合の良い話ばかりしているので、
途中で「ねえ、本当に大丈夫?」私は唐突に聞いた。
「先生、なんでそんなこと言うんですか?」作り笑いの彼の左目がピクピク動いて瞬きを繰り返していた。
「どこも悪くない?って言うか、気持ちの方は大丈夫?何だか凄く無理しているみたいだから・・・」
すると突然「どうして!」と目の前のテーブルを彼は両手を振り上げて思いっきり叩いた。
彼との長い付き合いの中で、彼は感情を表に出すタイプではなくて、むしろいつも冷静沈着で、当たり前のことだが声を荒げたことなど今まで一度もない彼が別人のような感じになっていた。

私は黙って、彼が冷静さを取り戻すのを持っていた。
と言うのも、彼が苛立って発した大きな声とテーブルを叩いた音に私ではなくて彼自身が一番驚いていたからだ。
少し経つと、彼はポツリ言った。
「すみません、本当にごめんなさい、本当に・・・」
「私は大丈夫。ねっ?自分でもビックリしたんじゃない?」
彼の顔がうつむき加減になり、彼の左手がそれを支えたが、その左手も少しピクピク痙攣しているようだった。
彼はそのまま少しの間黙っていた。

そして、少し経つと、又彼は話し始めた、しかし今度は真実を・・・。
「実は新しい会社に出勤する3日くらい前に、家に居て新しい会社の事を考えていたら、急に過呼吸のような状態になって救急車で運ばれたんです。
でも、それは一回で、そのまま新しい会社にも出勤しているし、その後は別に特に体調の方は何って言う訳ではないんですが、
ただ、それ以来、気持ちが前の会社の時に戻ったような感じで・・・・、
それまでは新しい会社に出勤する事を凄く楽しみにしていたのに、不安な気持ちが次から次へと心の中に溢れてくる感じなんです。それで、・・・」

彼が苦しそうだったんで、私は彼の言葉をそのまま引き継いだ。
「それで、前のように自分の言動が不安になって、上司や周りの人達が自分の事をどう思っているかの気になり始めた」
彼はそのまま黙ったまま、天井を見上げて目を閉じていた。

そして、私も彼が話を始めるのを黙って待っていた。
なぜなら、彼は自分が未だに精神を病んだままという事に気が付いていながら、見て見ぬふりふりをしていたが、ようやく、その事を本気で認めようとしていた。

そして、かなり時間が経った後、
「先生、会社、一旦辞めるか、まあ、入ったばかりなので無理だと思いますが、許されるなら休んだ方がいいですね?」
昔に戻った彼は落ち着いて私に質問してきたが、その言い方は自分自身に言い聞かせているようだった。
「うん、貴方は凄い実力の持ち主なんだから、絶対ちゃんと実力を出して会社に貢献した方がいいと思うし、貴方はそれが出来る人。
今のままでは貴方の実力が正当に評価されないと思う。
だから、今は少し休んで本当に実力が出せる状態を作るために自分の体調の事を一番に考えた方がいいと思う。
今ならまだ全然大丈夫だし、これからの人生も長いから、今だけ少し休んで!」

その後、私は通常通りに彼の鑑定をして、本当に良い転職の時期を話した。
彼が恵まれていたのは、まだ結婚もしておらず、30歳過ぎたばかりで、金銭的にもかなり余裕があり、現実的な話、3年くらいは何もしなくても贅沢をしても彼は充分暮らしていける状態だった。

彼は最後に言った。
「結局、逃げだったんですよね、この転職は!それで決着がしっかり付いていないまま転職活動をしている自分に何処か納得がいかなかったって言うか、これでいいんだろうかと常に自問自答していました。ただただ、逃げたかったんです、あの状態から!
あの時、先生も今の時期の転職は絶対やめておいた方がいいと、何度も色々アドバイスしてくれたのに・・・、本当に申し訳なかったです。」
「生きていると、そういう時も沢山あるし、分かっていても、人間はあまり強くないから、楽な方に流れてしまう、これは貴方だけではなくて、皆に言えることだから」

彼は私の鑑定を受けた次の日、会社で又過呼吸のような状態になり、病院に運ばれた。
彼からその連絡があり、さぞかし又落ち込んでいるかと思ったら、彼は意外なほど元気で、
会社に休みたいむねをあれこれどう言おうか悩んでいたので、逆にその手間が省けて急に気が楽になったと言っていた。
今後の事もあり、このままとはいかないが、一応、少し時間に猶予が出来たので、今度は逃げないでしっかり対処すると彼は言っていた。

実を言うと、彼以外にも、このような状態になってしまった方が私の依頼人にも何人も居て、
最近では一度神経を患うと、トラウマになってしまい、長引いて、本来の性格が変わってしまう方も本当に少なくない。

現実、彼らの話を聞くと、心療内科はいつも満杯状態だそうで、診察時間も3分~5分くらいで、
ただただ、精神安定剤や睡眠薬を出すだけで、担当の先生は「会社を少し休んだらどうですか」と言うばかりで、何も解決しないまま、全然治らないと言えば、薬の量を増やしたり減らしたり、薬の種類を変えたりするだけで、結局のところ病院の方もこれと言う決定打もないまま対処するしかないのが現状のようだ。
まあ、各自神経を病んだ状況も違うのだから、それ一つずつに答えられないのも致し方ないが、
とにかく私達が今生きている時代は本当に日々の進化が早く物質的なものに関してはどんどん便利になるが、精神的な面はそれに追いつかず、少しずつ生き辛くなっている気がする。

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