≪介護が家族を崩壊させた! NO.3≫

≪介護が家族を崩壊させた! NO.3≫

とにかく、一応、彼女が全員の鑑定をしてくれという事だったので、私は黙々と彼女に全員の鑑定結果を話した。
鑑定結果を見ても、特に物凄く偏った運勢を持つ方は一人もいなかった。
ただ、彼女の妹は早くから独立心も強く好奇心旺盛で、生まれた場所を離れる運がしっかり出ていて、両親ともあまり縁がなく、典型的なキャリアウーマン型の運を最初から持っていた。
そして、弟のお嫁さんは自我が大変強く超合理的な考え方の持ち主で、何事もすぐに白黒はっきりしないと気がすまないところがあり、それをすぐに口に出してしまうという特徴はあるものの、妹含め、これくらいの運の持ち主は世間一般的にも多いので、特に悪かったり強烈な運勢と言う部類には入らない。

その事を彼女に話すと、少し黙っていた彼女が「お金って凄いですね・・・」とボソッと言った。
私は彼女の言いたい事がよく理解出来た。
どんなに良い人だと思っていた人でも、お金が関わる事となると、人間は人格も変わってしまう可能性があると言いたいのだと思った。

「そうだね~、人間はそういう弱いところをみんな少なからずとも持っていて、そういう行動をしてしまう可能性は凄くあるんだけど、本来、基本的な運でお金に物凄く執着する運でなければ、それって一時だけの事なんだけどね。
それで、少し経てば、『これって自分じゃない』って自然に気が付いて本来の姿に戻るんだけど・・・、一瞬の気の迷いみたいな事ってあると思うけど、今はそんな感じかな~。
それに、この遺産の件も全員が元気な状態で話し合えば、このメンバーならこんなに揉めなかったと思うけど、御両親も介護が必要な時期で不安だろうし、周りも年齢が年齢だから自分達自身の事も明日は我が身かもで危ういのに老々介護をする事になって、すっかりみんな疲れ果てた状態で、遺産の事が出て来て、誰も冷静な状態じゃないから、物凄くややこしくなってしまったと思う」
私がそう言うと、彼女は両親の事や親戚の叔父さんや叔母さんが、前までは、いかに良い人達だったかを長々と語った。

「私もそうだと思うよ、鑑定してもお互い兄弟運も良いし、お金に特に物凄く執着のある運の人もいないし・・・、本来なら一時の事だけなんだと思うんだけど・・・」
と私がそう言うと、それを聞いていた彼女は少し望みが出来たと思ったようで、先程よりは少し張りのある声で言った。
「じゃあ、時間が経てば、もしかしたら昔のように戻れる?」

それで、私は彼女には可愛そうだったが現実の話をした。
「本当はそうなんだけど、もう弁護士が入っちゃっているでしょう~、彼らも商売だから、しっかりお金にならないと引き受けなかったと思うから、みんなが全員で各自の弁護士を解雇しないと、いつまで経ってもこの状態が続くと思う。
それにね、私も自分の親が80歳くらいだから、介護の大変さも分かるし状態も充分理解出来るんだけど、私の所も色々あって、毎回大騒ぎになるから、今年の夏頃に私は親戚一同の前で理論的に話をした事があるんだけど、その時はみんな頷いて分かった様な事を言うんだけど、半日も経たないうちにすぐに忘れて、又大騒ぎを繰り返している状態で、それで私もその度に理論的に話をしていて分かったけれど、もう年を取ると頭が硬くなってしまって、その時は話を聞いているんだけど、本当のところ理解は出来ていない事が現実だなんだと思う。
簡単に言うと、本当に悲しい事だけど、もうまともに話が通じないって感じた。
だから、貴方のところはまだみんな弁護士を立てるくらいだから、うちの両親より頭の方はしっかりしているんだと思うけど、貴方の兄弟姉妹とはまともな話が出来ても、御両親やその周りの親戚の方々は歳を取っているから、もしかしたら弁護士さんと話をした方が貴方や貴方の兄弟姉妹にとっては話が進んでいいかもしれない・・・」 
私がそう言うと、彼女は大きな溜息をつきながら、
「私と妹が雇った弁護士も似たような事を言っていた。両親や親戚の人達が各自雇った弁護士達も両親や親戚の人達の話や言う事が毎回コロコロ変わるので、振り回されてしまって凄く苦労しているような事を、私の弁護士に言ってきていて、まだ、各自の弁護士同士でも話し合いが持てる段階ではないみたい」と言った。

結論的に言えば、もう弁護士も入っているのだから、この事で考えたりしたところで何も出来ないのだから、もう弁護士同士に任せるしかない。
そう、今の彼女に言っても、彼女自体もその状況を充分分かっているのだが、気持ちの方が仲良し家族だっただけに頭から常に離れないのだろう。
「もう縁を切りたい!」と言った彼女の言葉が今は真実だと思った。

私の家を含め、私の周りは同じぐらいの年齢の御両親を抱えているので、こんな話はいくらでもある。
現に、私も10年くらい前から両親の介護する事を想像して準備をしてきたが、今年になって実際に両親の介護が始まると、本当に大変で戸惑い、そして疲れる事ばかりだった。
体力的な事より、精神的な面が先にまいってしまう。
自分の両親だから見捨てる訳にもいかず、そうかと言って、まともに話が通じなくなってきた両親の姿を見るのは、もっと辛い・・・。
既に日本の社会は高齢化が進み、それと同時に医療の進歩も凄まじく、これからはまさしく老々介護が当たり前の世の中になっていくのだろう。

生まれてきた限り人は必ず誰しも年を取る。
『年を取る事は素敵な事』だと思っていた若い頃もあった。
しかし、現実、自分の両親の介護が始まって、自分の想像をはるかに超える以上に介護が大変だという事を目の当たりにすると、今はもうそんな風に思う事は二度とこの先ないだろうと思う。

落胆したまま帰って行く彼女の後姿に私は自分の姿を重ねながら、この先私にも降りかかるであろう精神的苦痛を想像して、その場で身震いをしている自分に気が付いた。
それでも、それでも介護の日々は続く・・・。


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