「運命の扉 NO.33」 ~ 失われた記憶 ~ 

『運命の扉 NO.33』 ~ 失われた記憶 ① ~

「全部、全部変えたいんです。
今まで生きてきた事もすべて忘れて・・・、何もかも生まれ変わりたいんです。
これから新しい人生をやりたいんです。やり直すんじゃなくて・・・」

私は彼女の言う事を黙って聞いていた。
白いツーピースに身を包んだ彼女はとても清楚に見えて最近では珍しく髪の色も黒く、
袖口から続く手は異常なほど透明感があった。
見た目のオットリした感じとは違い、彼女のハキハキした話し方が心地良く私達の二人の間を
流れていた。

「変わりたい!新しい人生を・・・」
ただ、そう言い続ける彼女の過去に一体何があったのか、
でも占いは過去の事を当てるのが重要ではなく、これから先の事を考えるのが本来の姿
なので、過去の事は大して問題ではない。

しかし、これから先、生きていくのに過去勉強した事はその人の人生に大きな応援団として
成功への道を開いてくれる事が多い。
長所はより有効に、短所はなるべく控えめに・・・。

「うん、そうしたらいいんじゃないの!自分でそう思うんなら、きっと出来ると思うよ!
新しい気持ちで・・・」
過ぎてしまった事や失敗した事をいつまでもウジウジ後悔していても仕方がない、
むしろ気持ちを切り替えて前向きに違う自分になったつもりで・・・という方が
イイに決まっている、私はそう思って彼女の言葉に答えていた。

自分の思いに同意を得られたのが嬉しかったのか、彼女は何回か頷いて私に向かって
少し笑った。
そして言った。
「名前・・・、名前も変えたいんですが・・・」
「えっ、名前まで変えるの?」
「ダメでしょうか?」
「ううん、まあ今は事情があって変える人もいるから・・・」
名前まで変えると聞いて、私は彼女の過去が又少し気になった。
ただ彼女が話さない限り私からあえて聞くことは出来ない。彼女から話さない限り・・・・・・。

私はとにかく彼女の鑑定結果を話し始めた。
神妙な顔で彼女は時々頷きながら聞いていた。
そして話の合間には必ず
「じゃあ、今から変わるんですね。変われるんですね!」
と何回も私に確認するように言った。
その都度私は
「大丈夫!自分が意識さえすれば、必ず変われるチャンスの時期だから!」
とくどいくらい繰り返した。
彼女の顔は少しずつ和らいでいた。

私は最後に彼女に聞いた。
「どうですか?何か特に聞きたい事はありますか?」
彼女は明るい声で答えた。
「よく分かりました。少しホッとしました。
話を聞いていて・・・、私が選んだ道が間違っていないって感じましたから。
良かったです、自分で決心した事も、今日鑑定してもらった事も・・・。
これからの事に勇気が持てました」
私も彼女の歯切れの良い明るい声にホッとしていた。

②につづく

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