「運命の扉 NO.6」 ~ Sa l sa DE ム~チョ ~

『運命の扉 NO.6』 ~ Sa l sa DE ム~チョ ① ~

まだ、朝7時前だというのに、携帯電話が遠くで鳴っている。
私の記憶が正しければ、「Sa l sa DE ム~チョ」のリズムに合わせて、
狭いバックの中で携帯電話が踊っているはず・・・。

「イタ電かな?」眠りの中で、こんな朝早くから占いの予約電話は絶対無いと、確信している。
「間に合うかな?」
睡眠が私の身体と頭の中を緩やかに泳いでいる。
心を決めて、
「私も踊りに行こう」と立ち上がった瞬間、ダンスミュージックは終わった。
私は、仕方なく携帯を大フロアーに出してやった。

その瞬間、再びダンスミュージックは鳴り始めた。
「もしもし、雅です」低血圧の私だが朝はかなり強い。
「占いの予約、お願いします!」
電話の向こうの異常なほど元気な声が、私をしっかり現実の世界へと戻した。

彼女の予約電話の後、私は考えずにはいられなかった、
この時間に彼女が電話を掛けてきた訳を・・・。

一、仕事がらこの時間にしか掛けられないとか・・・?
二、何か本当に切羽詰っているとか・・・?

幾ら考えても当てはまりそうも無く、私はただ時計の針だけを見つめていた。

朝、6:44。

鑑定の日、彼女は時間通り、きっちり夕方6時にやって来た。
いつも通り私は初めに、
「四柱推命って鑑定してもらった事ある?」と聞いてみる。
その途端、彼女は15分間機関銃のごとく休み無しにしゃべり続けた。
「占いは何でも好き」から始まって「だから、困っているんです」まで。
私は、彼女の話に呆気に取られながらも感心しながら聞いていた。

いわゆる彼女は『占い狂(マニア)』だった。

聞けば、今日のラッキーカラーとかラッキーポイントとかで
「青」とか「牛乳」とか言われれば、1日何回でも牛乳を飲んだり、
「高校の時の友達」と出れば、慌てて昔の友達に電話したりしているのだ。
そして驚いた事に、彼女は1つの占いではなく1日中色々な占いを見ては喜び悲しみ、
1日中占いどおりに行動しているのだ。

今の時代は雑誌の占い以外に、朝からテレビでも「今日の占い」もやっているし、
会社に行けばインターネットで様々な占いが見られる。

「ところで、今日のラッキーカラー黄色でしょ?」
「さすが占いの先生ですね!何で解ったんですか?」
別に占い師でなくても誰にでも解る、彼女の洋服を見れば・・・。

「もう、どの占いを信じたらイイのか、解らないので困っているんです。教えて下さい!」
「やっぱり、日本人なんで西洋占いより東洋の物ですよね~、きっと!」
そう言った彼女の真剣な瞳の中で「Sa l sa DE ム~チョ」に合わせて、
占いの神様達が派手なステップを踏んでいた。

私は可笑しくてたまらなかったが、彼女の真面目で一生懸命な顔を見ていると、
それは口には出せなかった。


「今日のラッキーポイントは、朝早い電話!」かぁ?


②につづく

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