「運命の扉 NO.29」 ~ 私の彼はアントニオ ~

『運命の扉 NO.29』 ~ 私の彼はアントニオ ③ ~

「彼は、どちらかと言うと、安定を求めている貴方と違って、
流浪の民的な生活を求めている方なんだけど」

この私の言葉には彼女は直ぐ答えた。
「彼は今までも色々な国を旅しているんです。日本に来たのも、その一つなんです。
バイトでお金がたまると直ぐ出掛けるって感じで・・・」
「ああ、そうなんだ、やっぱり!」

彼女の話は続いた。
「そんなアウトロー的な彼を好きになったんです・・・。
日本にはバイトを兼ねて来たので、私の通訳の仕事でも会えたんですが、
普段は貧乏旅行だって言ってました・・・」

私は自然の流れの中で彼女に言った。
「運勢的に言うと、彼が落ち着くとしたら50代過ぎなんだよね。
それまでは・・・、それに彼には結婚運と言うか、家庭運が凄く薄いの」

彼女は黙っていた。

「貴方と彼の気持ちがしっかり結ばれていて強いのなら、
他の事は二人で努力して何とでもなるけど、
肝心の二人の気持ちがハッキリしていない以上、何も始まらないと思うよ。
貴方だけが結婚したいと思ってもね?結婚は相手がいる事だから・・・」

彼女の瞳が潤んでいるのが分かった。
私は彼女が可哀想になりながら言い続けた。
「遠距離恋愛って辛いよね?
今までも、遠距離恋愛の相談を受けた事があるけど・・・、
付き合い初めは、思う時に会えないから、
反対にその事が良い方向に向いて盛り上がるんだけど・・・、だんだん時間が経つと
相手の気持ちが分からなくて、結局自分自身の思いで潰されてやめちゃう人が多い。
私だったら、そんな思いするなら彼の所に行っちゃうな、きっと!」

彼女がポツリ言った。
「私の場合、同じ遠距離でも遠過ぎる。それに自分の気持ちも思うように伝わらない・・・」

それから私は彼女に彼女が今出来る限りの選択肢をいくつか提案した。
後は彼女が自分自身で決断する事。
これ以上どうしてあげる事も出来ない。

彼女の笑顔をもう一度見たい。
「私の彼はアントニオって名前の陽気なブラジル人なんです!」
と、明るく言った彼女の笑顔を・・・。

彼女の事を気にしながらも日々の忙しい生活の中で彼女の事を忘れ掛けた頃、
1通のメールが遥か彼方の国から届いた。

『両親からは勘当されましたが、アントニオと結婚しました。
今は彼の仕事の関係で南アフリカに住んでいます。
告白の勇気とチャンスを与えてくれてありがとうございました。
自分の人生なので後悔しないように頑張って幸せになります。』

短いメールだったが、
それと一緒にアントニオと並んだ思いっきり笑顔の彼女の写真が添付されていた。

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