「運命の扉 NO.27] ~ 顔の無い女 ~

『運命の扉 NO.27』 ~ 顔の無い女 ② ~

「私の顎(あご)、出過ぎていません?今年の冬には、顎と鼻の手術をするんです」
「え~、凄いね~」
私は心とは裏腹の事を言ってしまった。
と言うのは、彼女の瞼のあまりの痛々しさにショックを受けたままだったから。

「目はこれで4度目なんです、失敗して・・・」
私は改めて彼女の顔を恐る恐る見た。
顎の形も鼻の形も全然悪くは見えない。
むしろ整っている方だと思った。

彼女の話によると、これから三百万円以上かけて、顎、鼻、頬等5箇所くらい手術を
するのだと言う。

話を聞いているうちに彼女の顔が私には全く見えなくなってしまった。
今まで誰の占いを鑑定していたのだろうと愕然として残念に思った。
彼女の持つ闇の原因がここにあった。
「顔の無い女」

何故彼女は自分の顔をそうまでして変えなければ成らないのか?
多分、目も整形手術をする必要はなかったのではないだろうか?

彼女は鑑定の時には何もその事に関連した事は言わなかった。

「ねえ、何でそんなに全部、整形手術をするの?」
私は思い切って聞いてみた。
「だって、こんな顔じゃ・・・、みんなに嫌われちゃうじゃないですか?」
「え~、そんなことないよ!何で?何でそう思うの?私全然そう思わないけど・・・!」
私の言葉で会話は止まった。

沈黙が二人の間に続く。
気まずさの中で本当に疑問が頭の中を交差する。

「目の整形手術の前の顔を知らないから分からないけど、
たぶん手術する必要なかったんじゃない?ごめんね、勝手な事言って!」
彼女の沈黙が続いた。

私が彼女を傷つけてしまった事を後悔して、もう二度と聞くまいと決心した頃
彼女は話し始めた。

「目が一重で、前の彼氏に酷い事言われたんです。
笑顔が怒って見えて鬼みたい、気味悪いから笑わないでくれって・・・。
それから、その彼に振られたのを切っ掛けに、整形手術を受けるようになったんです。
でも一度やったら、何だか思っているのと違って・・・、
それで今回も新たに手術し直したんです」

「あの私ね、整形手術ってやった後、その人が元気になったりするのなら良い事だと思うけど、
貴方の場合、それで元気になったり明るくなったりしないのなら、全然やる意味がないと
思うんだけど・・・」
彼女は又黙ってしまった。

「本当に顎も出てないし、鼻も変じゃない、頬も!」
「他人には、分からないんです!」
キツイ口調で彼女が言った。

「ごめんなさい、それぞれ理由とか事情があるもんね。
でもね、占いの鑑定をしていて、ちっとも前向きじゃないし・・・、大きなお世話かな。
折角今日出会えたから・・・、良い運に恵まれてもらいたいなと思ったんだけど・・・、
ごめんなさいね」

私は今度こそ本当に自分のお節介に呆れながら彼女の鑑定を終わろうとしていた。

その時、彼女から思いがけない言葉を聞いた。
「もう、誰の事も信じられないんです。私も自分の顔なのに、どうしていいか分からなくて・・・。
整形手術の先生にも、もう厄介がられているんです・・・」

私は彼女の痛々しい顔を見詰めていた。
その顔は相変わらず「お岩さん」のように腫れていた。
この腫れが引いたら彼女は本当に彼女の希望する顔になれるのだろうか?

「本当に、どうしていいか分からない・・・。顔が無くなってしまった・・・」


③につづく

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