「運命の扉 NO.3」 羊たちの沈黙

『運命の扉 NO.3』 ~羊たちの沈黙~

いつからだろう? 私自身に「囲い」を作ったのは・・・。

最初は広い広い草原に大きな大きな「囲い」を作ったつもりでいた。
それは「仮の囲い」として・・・。
そして大人になるたびに、その囲いをドンドン大きく広げるつもりでいた。
無限に広がる大地は、私に沢山の実りと何処までも続く青い青い大空の恵みを分けてくれる筈だった。

私の「囲い」はある時期まで、確かに広がっていた。

私の冒険は、無限に夢を追い、時間(とき)という枠を越えて遥か未来まで、その思いは駆け巡っていた。

ある日、気が付くと、私の「囲い」は私自身の身体に、いつの間にか、まとわり付いていた。
しかも、その「囲い」は「仮囲い」だったはずなのに『鉄の鎖』となり頑丈に私を縛り上げて、
身動き出来ないまでに私を追い詰めていた。

よく見ると私の右手は、鎖を外そうと必死にもがいているのに、左手は折角外した鎖を又元に戻している。
「一体、私は何をやっているのだろう?ここで!」
いつの間にか私は、現状に慣れて、これが当たり前のように、毎日歯を磨くように習慣的に
この行動を行っていた。
「もがいているのが私なのか?」
「そのままで居たいのが私なのか?」

私は止まっている。歩いているつもりで、歩いていない!
「鎖」を外さなければ・・・。
「囲い」を広げなければ・・・。
今、叫ばなければ・・・、『羊たちの沈黙』は終わらない。
このままでいいのだろうか?

《運命の扉》は私に「鎖」を外す為の「可能性」という、もう一つの手足を与えた。

しかし今では、慣れ親しんだこの状況を壊すのが恐い!
恐くてたまらない。
そして何よりも居心地の良い、この場所がいとおしくて、
たまらない。
「私にはこれ以上の可能性が、あるはずが無い。
このままでいいんだ!何も変わらなくて。」
私の鎖で絡みついた錆びた思いが、心の中で叫んでいる。

崖の上で私の足が鎖に絡みつき、鎖の重さで、私は今、谷底に落ちようとしている。
それでもこのままでいいのだろうか?

次に《運命の扉》は私に勇気という声を与えた。
私が今叫ばなければ、私自身の声で・・・!

傷だらけの裸の私がそこに居た。
外された鎖の痕が、私の身体に大きな傷跡を残したが、
そこから流れる青い川と赤い川は、私に新しい流れを作った。
そして、それは「可能性」と「挑戦」に満ちた世界だった。

もう私には「囲い」は無い。
私は時間(とき)も越えてしまった。
そして今日、今ここに居る・・・。
毎日変わり続ける私が!

そして今日も一頭の羊が沈黙を破った。

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